最近、日本のアウトリガーカヌーは神奈川県・湘南地域を中心に目覚しく普及しています。パドルを持って電車や自転車に乗る姿。仕事の前後、朝夕にカヌーを漕ぐ光景。日本に初めて6人乗りアウトリガーカヌーを持ち込んだ9年前が大変懐かしく感じます。ハワイを始め海外のレースに出場することも、そしてOC1を車に乗せ全国を自由に移動する選手も増えました。仕切りがない広い海で自由に漕げる環境は素晴らしいライフスタイルです。豊かさと、便利さを追い求める現代社会の中で、家族や仲間と一緒に海に出て漕ぐことで、ゆっくりと流れる空気を感じながらも、力いっぱい漕ぐ姿はとても美しく、ハワイで初めてこのスポーツと出会った自分は、何としてもOC6を日本に持ち帰って仲間達に伝えようと決意しました。そしてたくさんの人の努力でOCCJを作りました。今では海岸にいくつものカヌークラブが育ち、そして湘南から地方へとその輪は拡大しようとしています。今アウトリガーカヌーを漕いでいる皆さん一人一人がこの10年間の歴史を作ってきた主役。そして自分もその一人としてこの世界に携わることができて幸せです。とはいえ、たった10年の歴史しかない発展途上の世界。まだまだ課題もクリアしなければいけない問題もたくさんあると思います。どの国も、そして時代も根底の理念は安全を最優先すること。クラブ運営もイベント運営もこの理念を忘れてはいけません。決して宣伝や利益が優先されてはいけないと、今の現状に疑問も感じています。
ただ、安全優先と言っておきながら、少しでもハードな外洋で、巨大なうねり、耳裏を擦るような強風、肉眼で島が見えなくなるような外洋の中がこのスポーツの一番の醍醐味だということも、競技者である自分は誰よりもよく感じています。98年初めてモロカイ海峡を渡った自分は荒れ狂う波に翻弄され海に投げ出された時、黒く深い真っ青な海の色に自分の人生を捧げようと何のためらいもなく脱サラしアスリートの道を突っ走りました。だからいつも美しい海に飛び込み、本物を目指すアスリートを育てたい。ハワイのようなウォーターマンが自然と育つ環境=カヌークラブを全国に広げたいと思ってOCCJを運営しています。でもそれは決して命がけの無謀な冒険者の集まりではありません。カヌーを通じて鍛えられる心、それは自分の信じたビジョンを諦めない強い意志を学ぶことです。だから将来はプロ野球選手でも、教師でも、政治家でも、サラリーマンでもいい。アウトリガーカヌーで海に出ると導かれる海の道は、私達大人が子供に一番伝えなければいけない”生き方”です。幼少の頃から悩み、葛藤の人生でしたが、海を通じて、そしてこのスポーツを通して本物と出会い、そこから受けた感動でいつも正しい方向へ導かれてきました。
ドーピングや反則に頼る屈折したアスリートやビジネススタイルを見て、一体正義とは何だろうかと悩むこともあります。しかしいつも正々堂々悩みや苦悩や葛藤、失望と向き合います。目をそらしても逃げられない。壁を乗り越えるためには、それまで経験したよりもっと大きく、広い海へ体一つで飛び込むことしかありません。今の世の中でそんな生き方ができる人間は特別だ。とか、古い人間だ。といわれ続けても毎日海に出て漕ぎ続けることで今の暮らしがあるのだと思います。
だから自分はJ.C.の舞台を南へ、毎日自分が目を覚まし飛び込む海へと移しました。2008シーズンの締めくくりとして是非力の限りを出し尽くしてほしいと思います。そしていよいよ来年は日本初となる”外洋OC6ダウンウインドレース”へとJ.C.を進化させます。自分の子供も、仲間も、ライバル達も全て一つの家族なんだということが感じ、感動できる場を目指します。これまで10年を振り返り、そして次の10年は、世界中のアスリートが集結し、交流し、競い合う環境を目指します。
前回2006年(昨07年はホクレア号航海プロジェクトの為休み)、日本初のロングディスタンスレースは、圧倒的な強さでOCCJ沖縄クルーが優勝しました。そして今年08年、6・10月と湘南チャレンジにてOCCJはダントツで優勝しました。嵐の中大健闘した湘南クラブ、つい先月茅ヶ崎で優勝した静岡・黒潮、最近確実に力をつけてきた葉山Beach、茅ヶ崎クラブ。そしてオハナクラブ。その他多くのパドラーが増える中で未だOCCJ不敗記録が更新される理由は一つ。「生涯を共に漕ぐ仲間の集まり。」だからだと思います。皆さん如何ですか?
ここ沖縄は、珊瑚礁の砂浜が光り輝き、歌と踊りの島々には、人の心を穏やかにさせる不思議な風が吹いています。豊かでゆったりとしたスローライフ、長寿を支える食生活、人々の心の温かさ、清らかさ。居心地いい地域社会。経済効率と豊かさと、便利さを追い求めてきた日本人が、自分の来た道を振り返り、これから先、将来のことを考えたとき、経済効率とも便利さともどこか違う時間と空気が流れる地域が日本の中にあって、それが沖縄で、癒しの島として浮かび上がり、最近特に注目を集めるようになっているのだと思います。県民所得が全国最低なのになぜ、豊かなのか、南国に住む人たちの生き方がなぜ、人々をひき付けるのか、なぜ、居心地がいいのか、なぜ、元気溢れているのか、、。そしてなぜここでアウトリガーカヌーを漕ぐ意味があるのか、、。そしてOCCJがなぜ負けないか、、。
是非、正々堂々戦いたい人。また沖縄のスローな空気、そして美しい海を感じたいという家族の方々。参加していただけることを心から祈っています。
そして地元沖縄の意欲あるハーリークラブとの交流を期待しています。
”名実ともに日本最高峰を目指す大会”として運営責任を全うすることを誓い、ここに日本で最も歴史の深いアウトリガーカヌーレース”ジャパンクラシック2008”の開催を宣言します。
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